ドリーム小説
赤い目をした【彼】は
その赤い目で『彼』を見つめる
私ではなく
『彼を』
愛し憎し
「かーんちゃん!!」
「うわぁ!なんだ…じゃないか、いらっしゃい。」
飛びつくようにして抱きついた私を
あなたはいつものように屈託のない笑顔で迎えてくれる。
それと同時に、その細い腕で抱きつきバランスを崩しそうになる私の腰を支えてくれる。
―でもね、私は気付いているのよ?
「ごめんね、実はちょっとこれから用事があるんだ。」
あなたの腕が私から離れ、私の腕もあなたから離れる。
「ゆっくりしていってね。」
ふわりとした微笑を浮かべながら、わたしの横をすり抜けていく。
―あなたは私なんて見ていない
―あなたが見ているのは
「春華、行くよ!」
―あなたが思っているのは
「ッたく…わかったよ。」
めんどくさそうに立ち上がった、あの天狗だけ。
次にあなたと私が会った時
あなたは苦しげに胸を押さえて倒れこんでしまうかもね。
だって…
あの天狗が憎くて憎くて
わたしは≪鬼≫になりそうなんだもの